「仕事とくらしと厚真とわたし」
~厚真町で起業した4人の女性に聞く「起業のリアル」起業するとどうなるの?~
イベントレポート
2023年2月6日
2022年10月20日(木)厚真町総合福祉センターで「仕事とくらしと厚真とわたし」~厚真町で起業した4人の女性に聞く「起業のリアル」起業するとどうなるの?~と題したイベントを実施し、オンライン接続も含め40名の方にご参加いただきました。厚真町に移住し、起業をして活動している女性4人に起業のきっかけやお金のこと、家族との関係や子育てとの両立など、現実的な本音の部分についてお話を伺いました。
・色々なことに挑戦したい思いはあるけど、年齢のこともあり、半ばあきらめていた感はありました。でも今回のイベントに参加して話を聞いたことで背中を押された気がします。周りの協力を得ながら、やりたいことに挑戦してみようという気になりました。
・自分の年齢や身体の具合等と向き合う中で、できることとやりたいことを積み上げてきて、“今”があるんだなと感じました。小さく始めること、楽しいこと、でも今の自分と向き合うこと、起業も日常生活の延長にあること等、パワーになりました。
・自分がやりたい事とやるべき事を自分自身で理解して、ぶれない思いで行動されているところ、そしてその思いを人前で堂々と話しが出来ること、素晴らしいなと思います。
これらはイベントの参加者から寄せられた感想です。 厚真町に移住し、やりたい事や自分の生活のために起業した登壇者4人の「起業のリアル」を覗いてみてください。
イベント登壇者 紹介
・村上朋子(むらかみ ともこ)さん
2008年に厚真町に移住。2021年9月tacoo cafeオープン。自分たちのために、自分たちが暮らす厚真町を健康に安心して暮らせる町にしたい。そのために一人一人が出来ることを一つでもいいからできるようにしたい。
・北條佳苗(ほうじょう かなえ)さん
2005年に厚真町に移住。自分が暮らしたいように暮らす。その延長線上に仕事がある。やりたいことをやるために起業した。自分自身が心地よく暮らすために自然体で生きていく。Shijima Yoga Studio &Shijima caféを経営。
・宮野和美(みやの かずみ)さん
1993年に厚真町に移住。料理が好きで栄養士を経て、パン工房chillin’を経営している。もの作りが好き。子育て世代のお母さんたちがゆったりと子育てできるような環境をつくりたい。
・堀田祐美子(ほりた ゆみこ)さん
2010年に厚真町に移住。2017年ころから農業に関わるようになる。原木しいたけを栽培する農家の減少に危機感。原木しいたけの価値を多くの人に伝え、販売ルートを拡大したい。起業のハードルを下げて、女性のチャレンジャーを増やしたい。 「おいしくて たのしいほうが わたしの道だ」がスローガン。㈱たのしい 代表を務める。
やりたいことを仕事にする!
―厚真町に移住してきたのはいつですか?どのような活動をしていますか?
村上:私は江別市出身です。2008年に厚真町に移住してきました。役場の地域包括支援センターや社会福祉協議会の職員として、住民と向き合ってきました。2021年3月に退職し2021年9月にtacoo cafeをオープンしました。「いつか自分のカフェを持ちたい」という一つの夢が叶いました。このカフェを起点に色々な人が集まり、出会い、繋がり始めています。あつまるカフェ、認知症の勉強会、住民との健康体操など住民のやりたいことを実現するために活動しています。
北條:2006年に厚真町に移住してきました。自分が生活するために、自分の生活を守るために起業しました。ヨガを学ぶためにインドに行ったのは39歳のころです。40歳を目前にして今後の自分の人生を考えた時に、出来ること、やりたいことは全部やっておこうと思いました。体調不良をきっかけに食事療法や、自然療法に興味を持ち、学んでいくなかで生活環境や食事が大切だと気づきました。ヨガと食事は切り離せないと思っています。自分の身体の健康を維持するためにはヨガがいいのではないかと思っています。高齢になっても続けられるし、自分の考え方とヨガの考え方が一致しています。でも、ヨガを仕事にしようとすると、ヨガだけでは簡単には稼げないのでカフェも運営しています。起業をすると全部が自分の選択で、決定権や責任はすべて自分にあると思っています。
宮野:1993年の春、短大で栄養士の資格を取得して役場に就職し、厚真町に移住しました。結婚後、子育てをしながら栄養士として働いていました。自家製酵母のパン作りを教わったことをきっかけにパン作りが楽しくて色々なパン屋さんをめぐりました。自分なりのパンを作ってみたくなり、パン屋さんをやる事にしました。
堀田:苫小牧で働いていて2010年に結婚を機に厚真町へ移住しました。夫は米、麦、大豆、ハスカップ、原木しいたけを栽培している農家です。原木しいたけの栽培はとても重労働です。農家の高齢化もあって40軒ほどあった原木しいたけ農家は2軒にまで減ってしまいました。 原木しいたけの価値を知って欲しいとの願いと、原木しいたけを栽培する農家がなくなる危機感がありました。「原木しいたけを食べたい人に直接届けたい」「震災をきっかけに人と人とのつながりがとても大切だと感じた」「この先何が起こるか分からない、後悔しないように楽しく働きたい。子どもたちにその姿を見せたい」そんな思いで起業しました。
―厚真町はどんなところですか?
村上:厚真町には海、田畑、山、川といった自然のお宝があります。福祉の仕事を通して住民と関わる中で、厚真には素敵な人がいっぱいいることに気づきました。入植して開拓してきた当時の過酷な話を笑顔で話してくれる人、しなやかで面白い人などです。そして、ここ最近は町外から移住してきた人と昔から厚真町に住んでいる住民が繋がり始めていると感じています。
北條:自然の近くで暮らしながらも、都会が程よい距離にある便利な田舎で住みやすい町です。
宮野:今の厚真町は働きやすい町、チャレンジしやすい町、柔軟性が高まってきていると思います。 堀田:厚真町のいいところは、天気のいい日が多いところだと思います。この事に言及する人はあまりいませんが、すごく重要だと思います。カラッと晴れる日が多くて朝から気持ちがいいです。田園風景や紅葉、野鳥の群れや星空など何気ない日常の風景がハッとするほど美しく、気持ちが明るくなります。
起業を目指したわけではない。起業はやりたい事をやるための手段。
―起業と就職の違いや起業してみた感想を教えてください。
村上:物事を動かす判断のスピード感が違うと思います。また、組織にいた時には見えなかった住民の力を肌で感じています。自然発生的につながる地域のコミュニティをつくりながら、住民の求める福祉を提供したいと思って活動しています。やりたい!と思ったらとにかくやってみることを大切にしています。経営者なので失敗しても自分の責任で軌道修正できることが楽しいです。
北條:起業しようと思って起業したわけではなく、自分にとって心地よい生活を突き詰めた結果、起業になりました。生活の糧を稼ぐためにはすべてを一人でやらなければいけないので、経験や人脈がとても役に立ちます。ネガティブなこともポジティブなことも、経験はすべて糧になります。誰かがやってくれるわけではないので自分がやるしかない、やりたい事の炎を燃やし続けるために自分で燃料を注ぐことがとても大切だと思っています。起業をすると全部が自分の選択で、決定権や責任はすべて自分にあるところが就職と違うところだと思います。起業してみると人との出会いが増えました。自分の活動をきっかけにして、出会った人たちが、厚真町に遊びに行ってみようとか、移住してみようと思ってもらえたら嬉しいです。
宮野:起業してみると、責任が全部自分に返ってくるけど、やりたいことが好きなように出来るなど就職とは違う楽しさもあると思います。地震をきっかけに考えが大きく変わりました。大変だったことも楽しめるようになったし、やりたいと思ったらやった方がいいと思うようになりました。 堀田:起業にこだわったわけではなく、起業は原木しいたけを売る手段の一つでした。たまたま助成金もあったし、周囲の人がサポートしてくれたことがとてもありがたいです。いざ起業してみると、計画通りにいかない、やる事は多い、失敗も多い、食品加工は責任も重い、自分の至らなさに気づくなど大変なことは多いです。でもそれもすべて「たのしい」です。何でも自分で決められるし、子育てしながらでも何が出来るかを自分で決めながら進められます。日常の中に「たのしい」を見つけることが大切だと思っています。
みんなが元気に笑顔で楽しく暮らせる町に。
―これからやりたい事や目標は?厚真町をどんな町にしたい!ですか?
村上:厚真町の産業、経済、福祉、教育が繋がって、子どもから高齢者までごちゃまぜになる居場所が必要だと思います。この1年間で得た人とのつながりをさらに広げて、無理せず、焦らず、20年プランでホッとできる小さな拠点があちこちにある町にしたいです。私が活動するエネルギーの源は「愛」です。自分への「愛」、家族への「愛」、住民への「愛」です。住民が元気になっていくこと、健康で楽しく過ごしていることが私の原動力なのです。
北條:今後は商品を開発して販売するルートをつくったり、ヨガの映像や音声のコンテンツを作ったりできたらいいなと思っています。生きていくために稼ぐ方法を模索しています。人と自分を比較する必要はなくて、自分で自分を応援する、自分を好きになる、自己肯定することが大事だと思います。
宮野:厚真町をこうしたいなんて大それたことは考えていませんが、転出者より転入者が多くなったことをプラスに捉えて、町が変わっていくことを楽しめたらと思っています。元々ある大事な部分を大切にしながら、みんなが心地よく暮らせる町にしたいです。
パン作りは楽しいけど体力的にいつまでも続かないこともあるので、パン以外に空き店舗や空き家を利用しながら料理教室もやりたいです。また、介護、子育てをしながら働く忙しいお母さんを応援するために惣菜や弁当などを作って販売していきたいです。
自分のやりたいことを認め、肯定することで選択肢が広がるし、ハードルを上げすぎず出来ることをひとつずつやり続ける努力が必要だと思っています。
堀田:厚真町の中で頼り頼られ笑って過ごせる、笑顔で楽しく暮らせる町にしたいです。厚真町には魅力的で技術や才能を持った女性が多いと思いますが、才能や技術があっても働き口がない現状をなんとか改善したいです。起業家支援制度がありますし、やりたいことがあるならとにかく始めてみて、それから周囲の人にアドバイスをもらい、助けてもらえばいいと思います。 1年後、2年後には町内で起業する人がもっと増えて、座談会が出来るようになったらいいなと思っています。
厚真町でやりたい事を仕事にするために起業した4人に、現実的なお話を伺いました。4人の話を聞いて、「自分も何かやってみよう!」「この人たちを応援しよう!」と思っていただけたら嬉しいです。 自然体で自分や地域と向き合い、やりたいことを仕事にしている挑戦者に会いに、北海道厚真町へぜひお越しください。
イベントに登壇した方々に関する記事は下記のリンクよりご覧いただけます。
村上さん
おばあちゃんも、サーファーも。誰もが気軽に立ち寄れる地域のカフェ tacoo cafe – あつまのおと (atsuma-note.jp)
自分たちのコミュニティは、自分たちでつくる-「住民として」村上さんの20年プラン – あつまのおと (atsuma-note.jp)
北條さん
心地よく暮らす生き方の延長上にある、仕事。Shijima Yoga Studio & Shijima cafe – あつまのおと (atsuma-note.jp)
堀田さん
原木しいたけは、北海道の森と繋がり循環する豊かな恵み。 震災直後の混乱を乗り越え始めた今と、これからについて。 – あつまのおと (atsuma-note.jp)
イベント当日の模様を録画した動画は下記のリンクよりご覧いただけます。
仕事とくらしと厚真とわたし~厚真の女性起業家4人に聞く「起業のリアル」起業するとどうなるの?~ – YouTube
※データは当日イベント中に配信したzoom録画データとなります。当日の通信環境等によりとぎれる可能性があります。予めご了承ください。