おばあちゃんも、サーファーも。誰もが気軽に立ち寄れる地域のカフェ tacoo cafe

2022年3月18日

厚真町の浜厚真海岸からほど近い、上厚真地区にtacoo surfというサーフショップがあります。

北海道では有名なサーフスポットであり年間約6万人もの人が訪れるという浜厚真海岸において、唯一の地元サーフショップとして2009年から親しまれてきました。

そこに併設して、2021年9月にオープンしたのがtacoo cafeです。

地元の人やサーファーが訪れるtacoo cafeはどのようなお店なのか、tacoo 村上朋子さんにお話をお伺いしました。

明るい雰囲気のtacoo cafe店内

― 村上さんは2008年に厚真町に移住されたということですが、そこからどのようにカフェをオープンする運びとなったのでしょうか。

村上 カフェを開く以前は厚真町社会福祉協議会に務めていたんですが、その時に平成30年北海道胆振東部地震を経験したんです。そんな時だからこそ地域の中での支えあい活動の重要性や、課題も見えてきた部分があったんですね。やっぱり地域コミュニティには、住民の立場で主体的に動くことができる人がいることが大切だと痛感しました。

そのうちに震災からまだ間もないこのタイミングだからこそ、自分自身が主体的な住民として活動をしたいという想いが強くなってきたんです。そこで社会福祉協議会を退職し、任意団体を作って地域のコミュニティ活動をすることを決めたんです。まずは地域の高齢者の方との生きがいづくり活動を中心に始めました。

― その時にカフェを開くということも考え始めたのでしょうか。

村上 実は自分でカフェをやりたいということ自体はずっと夢だったんです。

それは老後の楽しみにしようと思っていたのですが、震災というきっかけもあって思ったより早くタイミングが訪れたような感じですね。先ほどお話しした地域の中でのコミュニティ活動にもリンクする形でカフェをすることができるとも思ったんです。カフェならみんなに立ち寄ってもらうことができますから。

店内のあちこちにこだわりのインテリアが並んでいる

― カフェの店内はカラフルな色合いで、インテリアもとても素敵ですね。

村上 カフェを開くにあたって、家族で内装をDIYしたんです。ペンキを塗ったり、床張りをしたり、テーブルやカウンターも一家総出で作りました。

インテリアは『いつか自分がカフェをする時にはこれを飾ろう!』と集めてずっと取っておいたものもあるんですよ。

― カフェのメニューには曜日によって内容が変わるランチセットやデザートもありますが、料理はもともとお得意だったんでしょうか。

村上 料理はずっと趣味なんです。凝り性の性格もあって、子どもの頃からレシピを書き溜めていました。

以前はオーストラリアに住んでいたんですが、その時にもパンやスイーツは自分好みのものを作っていたし、ルームメイトだったパキスタン人の子が教えてくれたパキスタンカレーもいまはランチメニューのひとつにしています。そうやって積み重ねてきたものをカフェに活かすことができているかもしれませんね。

― メニューで使っている野菜は町内産が多いのですね。

村上 どうしても野菜が採れない冬場の時期は難しいこともありますが、夏場はほぼ町内産です。厚真町に移住してきたばかりの頃から、農家さんと地域でマルシェを開いたりしていました。そんな今までのご縁があってこそなんです。

今日のメニューには“パースニップ”という白いニンジンのような野菜のチップスがあるんですが、この野菜も町内の農家さんが作ってくれました。とても美味しいんですが、なかなか売っていないものなんですよ。

この日のランチメニューはパースニップチップスとフォカッチャサンド、サラダ、ピクルス、オニオンスープ

村上 私は農家さんが作ってくれたすてきな野菜でどういう料理ができるかなと考えるのがおもしろいし、農家さんもカフェでこんな野菜を使ってもらえたらいいなってイメージして野菜を育てるのが楽しくなってきたと言ってくれています。なにより、お客さんが『とにかくお野菜が美味しい』と感動してくれるのがうれしいですね。

― 浜厚真海岸から近いtacoo surfとあわせて、サーファーの方も寄りやすいですね。

もちろんサーファーさんが気軽に立ち寄れるお店にもなればと思っています。海から厚真の町中にまで入ってくる「理由」になるお店はこれまで少なかったんです。

でも昨年から立ち寄ってくれるサーファーさんも増えてきたし、この場で地元の方との交流が生まれていくのはとても楽しくて。

サーファーさんでも、カフェで使っている野菜をぜひ買いたいという方もいらっしゃるんですよ。野菜が採れる時期には、ここで厚真産の野菜を少しずつ販売できるようにもしようと思っています。

料理をしながら、気さくに話してくれる村上さん

村上 このカフェは地域のコミュニティの中で、ツールの一つでもあると考えているんです。

例えばコミュニティカフェのようにして地域のお料理が好きな人に“1日カフェ”みたいなものを開いてもらえるようにするとか、地域食堂みたいにしてもいいかもしれない。カフェとしてはもちろん、そうやって地域の中の拠点のひとつとしてどんどん活用していきたいと思っています。

地域のコミュニティで活躍する村上さんだからこそ、様々なご縁が集まっているtacoo cafe。

上厚真にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

●tacoo cafe

営業日 水曜日・金曜日・土曜日 11:30~15:00



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