心地よく暮らす生き方の延長上にある、仕事。
Shijima Yoga Studio & Shijima cafe

2022年7月7日

厚真町にある素敵なお店のひとつ、Shijima Yoga Studio & Shijima cafe。
主宰の北條佳苗さんはヨガのインストラクターとして厚真町内外でヨガレッスンを行うとともに、カフェでは化学調味料や動物性食材、乳製品不使用のヴィーガンメニューを提供しています。
以前は厚真町の北端部である幌内地区にあったShijima Yoga Studio & Shijima cafe。山々と畑に囲まれた自然豊かな環境でした。しかし、平成30年北海道胆振東部地震での被災を受け、厚真町の中心部に位置する共同店舗(2022年3月に共同仮設店舗から名称変更)「京町キューブ」に場所を移して営業を続けています。

北條さんの人柄がにじみ出るようなあたたかいお店で、厚真町との出会いからShijima Yoga Studio & Shijima cafeの始まり、そしてその生き方についてお話を伺いました。

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― まず、北條さんが厚真町に移住したきっかけを教えていただけますか。

北條 厚真町に移住して17年ほどになります。その時のパートナーが新規就農を目指していて、それを叶えられる場所として厚真町を見つけたのが最初のきっかけでした。
私は厚真のとなり、苫小牧市で働いていたのですが、ちょっと体調を崩していた時期でもあったんです。『自分の体を大切にして、もっと自然の近くで暮らしてみたいな』という気持ちになっていたこともあって、仕事には区切りをつけて厚真町に移住することを決めました。
そこから色々なご縁があって、自然に囲まれた幌内地区の土地を借りることができたんです。そこで農業をしたり、近隣の農家さんのお手伝いに行ったりしながら暮らしていました。

― ヨガスタジオとカフェを始めたのはいつ頃なのでしょうか。

北條 実はヨガスタジオとカフェを始めたのは、移住してから10年ほど経ってからなんです。 ちょうどその頃は、私自身が40代を目前にして人生を色々考え直すタイミングだったんですよね。いま行けるところには行きたい、元気なうちにやれることは挑戦してみたい気持ちに向き合ったんです。
これから何がしたいのかじっくり考えてみて、以前から興味のあったヨガに本格的にチャレンジすることにしました。

訪れる方の一人一人とコミュニケーションを取りながらお店を切り盛りする北條さん

― 厚真町で何年も暮らした上での新しいチャレンジだったのですね。ヨガとはどのような経緯で出会ったのでしょうか。

北條 自分が体調を崩した時に心身のバランスがとても大切だと感じていたこともあって、ヨガにはずっと興味がありました。ヨガはメンタルとフィジカルが密接に関わっているという考え方なんですよ。体の筋肉をつくり、呼吸法も整えて、メンタルのリラックスも出来る。すごくいい方法だと思ったんです。
それで、思い切ってインドでヨガインストラクターの勉強をすることにしたんです。

― いきなりインドまで行くことにしたのですか!すごい行動力ですね。

北條 一定期間で集中して学べる環境が自分には合っているかなと調べていたら、ヨガの本場であるインドで合宿で学べるスクールがあるのを知りました。もう『えい!どうせなら行ってみよう!』って思ったんです。
様々な国から集まった人たちと寝食を共にして学び、とても面白かったですよ!それに同じ屋根の下でたくさんの人と学ぶことは、ヨガの元々の教えにもあることなんです。

― そうしてインドでのスクールから帰ってきて、ヨガスタジオとカフェを本格的に始めたのですね。

北條 ヨガと自分が暮らしている自然環境、そして周りで採れる美味しい野菜や作物、そういったものを組み合わせて、体と心がつながる“トータル リトリート”の場を作ってみたいと漠然と考えていました。それを少しずつ形にしていったんです。
元々借りていた土地に古い納屋があったので、そこをゼロから改装しました。自分でできることはなるべく自分でやって、カフェとヨガができるスタジオにしていったんです。

被災前のShijima Yoga Studio&Shijima cafe。幌内地区の自然に囲まれていた

― オーガニック野菜を使ったカフェのお料理もとても素敵ですが、なにか特別な勉強をされたのですか。

北條 いえ、ほぼ自己流なんです!しかも厚真に来る前は料理が苦手だったんですよ。若い時はとにかく「焼肉大好き!ビール大好き!」みたいな感じでしたしね(笑)。
でも、そんな生活をしていたから体調を崩してしまったのかもしれないと気づきました。それから自分の体に合うような食事療法を模索し始めて、玄米や自然に近い野菜を意識して食べるようになりました。
自分のところやご近所さんの畑には新鮮で美味しい野菜がいっぱいあるから、それをどうやって美味しく食べるかというのも日常的に考えられるようになりましたね。

― カフェを始めるにあたって、人に提供する料理をつくることへのハードルはありませんでしたか。

北條 もちろんありました。ただ、厚真に移住した当時はこんな田舎暮らしを始めた人が珍しかったのもあるのか、カフェを始める前から家にお客さんがたくさん来ていたんです。そうして来てくれた人に食べてもらうためにお料理をすることが多くなった。それで鍛えられましたね。
最初は自分のために考えていた食事だったけど、新鮮な野菜を使って体にも心にも美味しいものをみんなで食べる、ということが少しずつ出来るようになってきたんだと思います。

カフェランチ定番メニューのブッダボウル。中央には大きなニンジンのフライがのっている

― そんな中、平成30年北海道胆振東部地震では北條さんのご自宅とShijima Yoga & Shijima cafeがある幌内地区も大きな被害が発生しました。当時はどのような様子だったのでしょうか。

北條 地震の時は、死を感じるくらいものすごい揺れでした。すぐ裏の山で大きな土砂崩れが起こり、大きい道は全部土砂で埋まってしまったので、田んぼの隙間を通ってなんとか避難することができたという状況です。
自宅は全壊、電気も長い間止まってしまいましたね。井戸水を使っているので、電気がないと水を汲み上げることができません。道路の復旧工事にも時間がかかるし、今までのようにみんなにお店に来てもらうのはしばらく無理だとわかりました。
そんな時に、役場の方から『仮設店舗ができるから、まずはそこでお店を再開しないか』とのお話をもらったんです。

胆振東部地震から約半年後に整備された共同仮設店舗「京町キューブ」

― 自然に囲まれた幌内地区の環境を大切にしていた面もあるかと思うのですが、厚真町の街中にある仮設店舗に場所を移すことに迷いはありませんでしたか。

北條 迷いはほとんどありませんでしたね。
せっかく与えてもらった機会なんだから、とにかくやってみようとすぐ思いました。仮設店舗というともっと味気ないものになるかと思ったんですが、木をたくさん使った内装ですごくいいところを作ってもらえましたし!
いまある場所で、その時の自分の一番いい状態が作れたらそれでいいなと思いましたから。

光が差し込む店内。イスやテーブルは幌内のお店で使っていた物をもってきたそう。

― 大変な状況になってしまったなかで、なぜそのように前向きに道を選んでいくことができたのでしょうか。

北條 地震が起こった時、見慣れた景色が昨日とは全く違うものになってしまったのを目の当たりにして、毎日が同じではないことをあからさまに体感することになったんです。
そうしたら一日一日がすごく大切になって、とにかく“その一日”を自分の一番良い状態にもっていこうと思うようになりました。ダメだったことがあっても、それもいいじゃんって、考えがすごく肯定的になったんですね。前からそういう考えはあったかもしれないけど、地震を経験してよりくっきりとそんな意識を持つようになりました。
だからこそ、新しい環境でも『今日を楽しく過ごすために』という気持ちで前向きに思えたのかもしれません。

― 震災から3年以上が経ち、いまご自宅は元の幌内地区に戻られたそうですが、いずれはヨガスタジオ・カフェも元の場所に戻りたいお気持ちもあるんでしょうか。

北條 そうですね、やっぱりいつか戻りたい気持ちはあります。今のお店は街中に近いから色々な人が気軽に来られるようになったりとか、良いところはあるんですけどね。
でも、せっかく厚真で自然があるところに移住してきたんだから、そこで生活や仕事をできるのが一番いいなと思っています。木のそばは落ち着きますし、山の空気は心も体も充電できるような感覚があるんですよね。心身がすがすがしいというか。
そうやってまずは自分自身が心地よく暮らしたい。そんな私の生活の延長にあるのが、このお店だと思っています。だからこそ、その時々で自分にベストなことはなにかを感じながら、自然体でやっていきたいですね。

京町キューブ店舗のキッチンで料理に向き合う北條さん

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Shijima cafeは毎週金曜日11:00~14:00に営業中。
こだわり野菜のブッダボウルやパスタ等が楽しめます。予約制でテイクアウトのランチボックスや、オードブルもご用意可能。キッチンカーによるイベント出店も行っています。
夜はご予約のみ営業。

Shijima Yoga studioでは厚真町内でのレッスンサークルの他、近隣市町村で出張レッスンも開催。

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