【地域おこし協力隊募集】審査に落ちた僕が厚真町ローカルベンチャースクールで、もがいて見つけた言葉とは。 ~ 起業プランが明確じゃなくても、まずは参加してみればいい ~
2021年9月4日
北海道厚真町で起業型地域おこし協力隊になるには「ローカルベンチャースクール(以下、LVS)」という選考プログラムを通過する必要があります。山田大祐さんは2020年度厚真町LVSに参加。結果は「不採択」。それでも「参加して良かった」と言います。
何がそう思わせたのか?何を得たのか?LVSの場が持つ価値とは?
山田さんの今の選択につながる「LVSで手に入れた言葉」をメンターとして関わった花屋(エーゼロ厚真 取締役)が掘り下げました。
厚真町は今年もローカルベンチャースクール2024を開催します。
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打ち砕かれた自信。「わーーー、全然だめだ……」真っ白になった一次選考合宿 。
―LVS以来ですね。今回は取材を受けていただいてありがとうございます。今はどこで何をしているんですか?(取材は2021年8月にオンラインにて実施)
山田:6月1日から北海道幌加内町の地域おこし協力隊として、役場に所属して活動しています。具体的には道の駅に「ルオント」という温泉施設があり、そこのフロント業務や事務仕事をしています。それだけでなく「温泉」「レストラン」「そばを中心とした特産品の開発・販促」を通じて、「観光資源を開発していくこと」が大きな目的となります。
―地域おこし協力隊として活動しているんですね。
山田:はい。なんとなく地域おこし協力隊という働き方が今の自分にとってちょうど良いように感じたので、北海道内のいくつかの地域を探したうえでここに決めました。
―ありがとうございます。それでは、本題に入りましてLVSに参加した動機を教えてください。
山田:まずそもそも自分が起業したかったからです。サラリーマンはもう嫌だなというか。自分の経験を考えると、アウトドアガイドとかキャンプ施設の運営などをなんとかやれそうな気がしていました。
それと厚真町には協力隊から起業して成功している友人がいて、彼に相談もできるし、一緒に考えてもらえる状況がありました。「きっといけるよ!」と応援してもらえたのも後押しになりました。
―自分の経験と友人の後押しがきっかけですね。エントリー書類を提出したあと、9月7日に私と最初のオンラインメンタリングを行いましたね。ここにそのときのメモがあります。振り返ってみてどうですか?
山田:「やっぱり弱いなあ……」って思いますね 笑。正直まだ漠然としていたなと。厚真に通いながら具体的にどうやっていこうかなあと考えている途中の時点で、エントリーシートを書いていましたね。
それを1時間ほどのメンタリングで「道をつけてくれた」というか、自分の中でモヤモヤしていたものをすごく整理してもらった感じです。自分でも考えを書き出したりはしていたんですけど全然足りてなかった。
あと、自分の内面というか自分の想いを話す機会は普段ないので、それを話すのは新鮮でした。初対面でしたけどフランクに接してもらえたので話しやすかったです。
―ありがとうございます。それは良かったです。次に選考合宿に向けてプレゼンテーションを作りますよね。どんな風に作ったんですか?
山田:厚真町で具体的に事業をやるイメージを作りたいなと思って、厚真町に行きたかったのですが仕事の関係もあってあまり行けませんでした。なので、ネットで情報を調べながら作っていった感じです。
―参加する方の全員が厚真町の近くにいるわけじゃないので、そういう作り方になること自体は普通かなとは思います。厚真町の友人には手伝ってもらったんですか?
山田:いえ、それはそうではなく。「山ちゃんが自分でどうしたいかだよ。それをサポートするところにこっちはいるから」ということで、自分で作りました。
―そうやって作ったプレゼンテーションを合宿の最初に発表しましたね。
山田:正直なところプレゼン作ったときに「これはいけるんじゃないか」と思っていたんです。人前で話すことは慣れていましたし、当日も緊張せずに話せたので「これはいける!」と。
そう思ったんですけど……、全然反応が良くない。もちろん皆さん全く否定はしないんです。でも、全く盛り上がってはいない。具体的には「お金のこと」を聞かれたのですが、何も答えられなくて夢から現実に引き戻されました。
自信崩壊です。そこで「こんなアイデアどう?」なんて言われたら、「それが良いのかな?」と人の意見に左右される。
―完全なるブレブレモードでしたよね 笑。でも、よくあるパターンなんですけどね。
山田:そこから最終日に向けて、プレゼンテーションを作りなおす時間は本当に地獄でした。それでもなんとかお金のところのつじつまを合わせて作り、発表するときには「もうどうにでもなれ」というか「当たって砕けろ」という気分でした。
それでも「通過したい」という気持ちがあるから、自信のないお金に関する部分の説明はサラッと流しました。そうしたら、そこは突っ込まれずに通過ってことになったんです。
でも、審査結果を伝えられる場で花屋さんに言われたんです。
―何を言いましたっけ?
山田:「通過だけど、全然だめだよ」って。
「わー、バレてる」と思いました。そりゃそうだよな。まあでも、一次を通してもらったってことは期待してもらっているってことだろう。ここから立て直そうと考えました。
ないんじゃない。僕が見つけようとしなかったんだ。
―最終選考会までの間はどうしていましたか?
山田:一次審査のときに「山田さんがやりたいことは本当に『宿泊』ですか、それは『厚真である必要』がありますか?」と言われました。
あと、審査の後に改めて花屋さんとメンタリングしたときに「これまでの自分のスキルや経験を棚卸して、自分を完全に出し切ってください」ともアドバイスをもらいました。
それでまずは一次審査のプランを全部白紙にしました。そして自分に問いかけました。「自分のやりたいことはなんだろう?お金も関係ないとしたらどう働きたいんだ?」と。
このときに初めて本当に自分と向き合ったような気がします。
―いい時間でしたね。
山田:はい。そうしたら思い浮かんできました。
「やっぱり、アウトドアガイドだ」と。アウトドアガイドとしてお客さんを楽しませること。そこに一番行きたいなと、自分の理想に巡りあえました。
そこからは「アウトドアガイドとしていかに稼ぐか?」に集中して考えました。
年間通した計画を作るにあたって、夏場は何とかなりそうなイメージが湧きました。でも、冬場が難しい。積雪も少なくスキー場があるわけでもない。
しかも、冬の厚真のことが課題なのに実際に厚真に行くことができなかったのが痛かった。あのとき厚真に行っていれば何か変わっていたかもしれません……。
―あー、それはあるかもしれません。審査する側も「確実なプラン」を必要としているわけじゃないんです。「確実な起業」なんてないですしね。厚真の地に足がついていて、発表者の腹に落ちているプランであることが大事です。そうであれば「頑張ってみればいいじゃん。彼に賭けてみよう。応援しよう」と言える余地が出てきます。
山田:そうですよね。
それに本当に厚真町に「ない」わけじゃないと思うんです。
合宿のときに「厚真には昔、石油が出たところがあるんだよ」とか「アイヌの土器がたくさん出たんだよ」とか教えてもらっていました。
だから、ないんじゃなくて僕が「見つけようとしなかった」んだと思っています。
―なるほど。山田さんが自分と本当に向き合ったんだなというのを感じます。それでもなんとか冬用のプランも作って最終審査に持ってきましたよね。
山田:事業として冬の部分の弱さはあるけどアイデアとしては考えられたし、自分の中ではちゃんとまとまった。「これで挑もう」と心はすっきりしていました。
間に合わなかった言葉。でも、今につながる言葉。
―それでも通過しなかったですね。
山田:そうですね。自分でも「やっぱり収益部分は弱いな」とか、「裏付けが足りないな」という部分はあったので、まあ「当然かな」と納得感がありました。
不採択と伝えられるときには収益のことも言われましたが、「山田さんのやりたいことをやれるのは、観光資源がもっとある地域になるんじゃないですかね」とも言われました。
―厚真のために、厚真でできることを考えたのに「厚真ではないんじゃないですか?」と言われるのはどんな気持ちでした?
山田:率直に思ったのは「観光資源のあるところなら、すでにやっているよな」ということで、だったらやる意味はない。僕の中には自分が「掘り起こしたい」という気持ちがあるなと感じました。
―「掘り起こししたい」。……その言葉をプレゼンの時点で見つけていたら結果は違っていたかもしれないですね。「今厚真になくても、見つけたい、必ず見つける」と言ってくれていたら。でも、最後の最後でその言葉が見つかって良かったですね。
山田:はい。だから今僕は幌加内町にいます。ここには「掘り起こし」できるものがたくさんあります。
例えば、朱鞠内(しゅまりない)湖という手つかずの自然が多く残っている湖があります。キャンプブームや釣りが好きな人は来ていますが、まだ知られていない魅力や観光資源になるものがあるはずです。
幌加内町は1,400人ほどの小さな町ですが日本一が3つあります。
朱鞠内湖はダムでせき止めた日本最大の人造湖ですし、そばの生産量も日本一で、公式記録ではないんですが、マイナス41.2度という最低気温の記録もあります。
この3つを軸にしっかり掘り下げていけば、きっと「行ってみたい」と思ってもらえる。でも、まだまだその認知度は低い。これは僕がやるしかないな、と思っています。
―朱鞠内湖が有名になったときは「山田が掘り起こしたな」とニヤニヤできるのを楽しみにしています。それでは、最後に山田さんにとってLVSってどんな場だったか教えてください。
山田:まず一番は自分と向き合って、自分の内側を探り出せる場所でしたね。おかげでまだ見ぬ自分に会えた感じがありますし、自分自身が変わった実感もあります。
だから「ちょっとでも起業に興味があるなら、自分の中のコアがまだ見えてなくても、自信もって参加してみればいいじゃん」と思います。事業プランが「ふわっ」としていたとしても「自分の現状を変えたい」と思うならそれだけでいい。こんな僕みたいな人がエントリーしたんだし 笑。
ただ「壁は何枚もある」ってことは覚悟しておいた方がいいです。壁にぶち当たって、プランも自信も何回も崩壊すると思います。でも、その崩壊した先にきっとなにかひとつは手に入るものがあると思います。
―今日はどうもありがとうございました。LVSで見つけた「掘り起こし」という言葉を大事に頑張ってくださいね。応援しています。
厚真町は今年もLVSを開催します。
自分は何かできるんじゃないか?自分のスキルは地域でも仕事になるんじゃないか?だけど……確信はない。もし、その確信が欲しければ「自分と向き合う」ことは避けて通れない。自分の心に問いかけて、深く、深く、考え抜くこと。
自分を変えてみたい。そこにチャレンジする気持ちがあるなら、厚真町LVSで自分と向き合ってみませんか?
厚真町は今年度のLVSエントリーを開始しています。北海道でこれまでの経験を活かして何か起業してみたいなら、ぜひご検討ください。
厚真町の人と一緒になって楽しむマインドと「何度も壁にぶち当たる覚悟」を持ってくれば、参加資格は十分です。壁の先にある何かを一緒に見つけましょう。
結果として、厚真町以外の場所を選択することになったとしても大丈夫です。LVSで出会い、本気の想いを共有した仲間として、あなたの選択を応援します。エントリーをお待ちしています。エントリー前のオンラインメンタリングも受けつけていますので、頭の中を整理するサポートをさせてください。
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