【北海道厚真町 地域おこし協力隊募集!】メンターと一緒にあなたの事業の本質を見つけよう
2018年8月8日
こんにちは。このページを見ている皆さんは「ローカルベンチャースクール(以下、LVS)」って何だろう?と気になっているのかなと思います。
「地方で暮らしてみたいな」特に厚真町のLVSのページを見ているということは「北海道いいな!」とかも思っているかもしれません。
でも、ただ行ったところで「仕事がなければ暮らすことはできない」。「仕事どうしようかな?」「お金どうやって稼げばいいのかな?」
そんなときにLVSのことを知ると「起業のサポートをしてくれて、しかも採択されれば月々活動資金を受け取れるらしいし、ちょっと興味あるな」と思ってもらえるんじゃないかと思います。
厚真町は今年もローカルベンチャースクール2024を開催します。エントリーはこちらから
LVSのシステムについて
では、その興味を持っていただいたLVSってどんなシステムなんだろう?ということなんですがすごく簡単にいうと
1、エントリーシートを提出する(書類選考)
2、自分のやってみたいビジネスを発表する(二次選考)
3、「メンター」と呼ばれる人たちからフィードバックをうける
4、「メンター」と一緒にプランをブラッシュアップする
5、ブラッシュアップ後に最終の発表をする(最終選考)
6、採択の審査が行われる
7、採択されれば厚真町にて、翌年4月から活動資金を受け取りながら活動していく
といったことになります。
今年の厚真町のLVSのスケジュールでは
2023年10月31日 18:00 エントリー書類提出締切(書類選考)
2023年 12月日8~10日 プレゼンおよびブラッシュアップ@厚真町(一次選考合宿)
2024年 1月20日 最終プレゼンおよび審査@厚真町(最終選考会)
となっています。
詳細はこちら
最初の選考合宿から最終選考の間は1か月ほどありますが、この間も「メンター」がサポートします。
これみよがしに「メンター」の文字にカギカッコをつけてみました。
地方で暮らしてみたいと考えてみて、LVSのことを知り、このページを見たら、きっと思うだろうなと思うんです。
「メンターって具体的にどんなことしてくれるの?」
「メンターとのやりとりってどんなことが発生するの?」
「優しいの?恐いの?」
「お金持ちなの、そうでもないの?」
とか。
先に言っておくと多分あまりお金は持ってないとは思います。
でも、「いろんな事業経験を積んできている人たち」であることは間違いないですし、事業を起こしていくうえで「これが大事」という「共通の思い」を持っている人たちです。
メンターとのやりとりって具体的にどんなことがあるの?
メンターがどんな人たちかは他のページでも紹介がありますが、皆さんが一番知りたいのは「私はメンターとうまくやれるのか?」「私はメンターにどんなことを言われるんだろう?」「メンターって何考えているだろう?」ということかなと思っています。
ですので、今回の記事では厚真町のLVSで過去にあったメンターと参加者との具体的なやりとりを紹介したいと思います。
これを読んでみて「メンターはこんな風にしてくれるんだなあ」と少しでも感じてもらえたらうれしいです。
ちなみに私は厚真町のLVSのメンターをしている花屋雅貴と申します。エーゼロ厚真の取締役でもあります。
メンターが事業をサポートする際に考える「5つのステップ」
LVSのメンターをする際に私の中で考えている5つのステップがあります。
ステップ1、「自分を知ること」
ステップ2、「アイデアがあること」
ステップ3、「伝えること」
ステップ4、「計画すること」
ステップ5、「実行すること」
実際にはこの5つのステップの前というか根っこになるものがあります。
ステップ0とも言える根っこの部分を、私を含むLVSのメンターたちは共通の思いとして大事にしています。
今回の記事では厚真町LVSで実際に私が担当した皆さんとのやりとりを通じて、この5つのステップのうち「計画すること」について書いてみたいと思います。
「計画すること」・・・2016年参加の佐藤さんの場合
事業を実現するためにはどこかで「数字で考える」必要があります。数字で考えるというと苦手な人もいるかと思いますが、結局のところ「儲かるかどうか?」「利益がでるかどうか?」は数字で見るしかありません。
でも、数字で考えること自体はそんなに難しくありません。3つの質問に答えてもらえばいいです。
計画のための質問1、「商品は何ですか?」つまり「あなたは何を売るんですか?」です。
計画のための質問2、「その商品がいくらで提供できますか?」です。
計画のための質問3、「その商品がいくつ売れると思いますか?」です。
そんなに難しくないかと思います。
ただ、これに答えて終わりではないですよ。この3つの質問に答えてもらって「わかりました」と言うだけで良ければメンターってずいぶん楽です。実際にやりとりするときにはこの質問を軸に「さらに深くいろんな角度で」質問します。
2016年の参加者で、今実際に厚真町で活動している佐藤稔さんとの場合です。実際の細かいやりとりはすでに2年近く前なので忘れていますが、大体こんな感じ、ということで読んでいただければと思います。
彼は当時家族で鎌倉に住んでいて、北海道に家族で移住して仕事をしたいと思い、厚真町LVSに参加してくれました。彼は鎌倉で自分のビジネスをしていて、今もそのビジネスの続きを厚真町で行っています。
もちろん私は何も知らないですから、質問します。
私 鎌倉でビジネスをやってるっていうけどどんなビジネスなの?
佐藤 「貿易」をしています。
私 貿易???
この時点で私は「何を言ってるんだ?」と思いました。私の中で貿易っていうと「海外で商品をどーんと買い付け、大きな船にたくさん荷物をのせて、日本でばーんと売る」みたいなイメージがありました。
でも、彼を見ていると「そんなどーんと仕入れて、ばーんと売っている」ようには見えないです。謎が深まります。
私 えっと、貿易ってなんらか商品を輸入してそれを日本で売るってことだよね?
佐藤 はい。日本にあるものを海外に出すこともあります。
えーっと、輸入だけじゃなく輸出もやるってこと?輸入のこともわからないのに、輸出のことを聞いても話が良くわからなくなりそうだな。
ここで「計画のための質問1」が出ます。厳密には少しアレンジしての質問です。
私 輸入と輸出もやってるってことね。じゃあ、輸入って「何を仕入れてるの?」
佐藤 「カメラ」です。
私 カメラ?
佐藤 はい。古いカメラって結構売れるんです。
私 あー、そういうことかあ
私の中でいくつかのことが腑に落ちます。カメラは比較的「小さい」ものです。輸入であれ輸出であれ商品がすぐに買い手がつくわけじゃないので「一時的に保管」する必要があるはずです。
このときに「大きなもの」だと「保管スペースも大きくなくてはいけない」、つまり「倉庫代が高くつくよなあ」と思っていたのですが、「カメラなら小さいからスペースはそんなにいらなそうだな」。
そして「安い商品」だと「数が必要」になるのでやっぱり「多く仕入れる必要がある」からやっぱり「保管スペースが大きくなる」。でも、カメラならそれなりの値段で売れるから数が多くなくてもよさそうだ。
私 じゃあ、倉庫とかもスペースがいらないってことだよね?
佐藤 はい。家の庭に小屋があってそこに並べています。
私 なるほど。いいね。
ここで質問自体は「何を売るか?(何を仕入れて売るのか?)」を聞いていますが、同時に「計画のための質問2」である「いくらで提供できるのか?」のことも考えながら聞いています。
今回の商品を提供するには「商品の仕入れ代金」+「倉庫代」がかかるはずで、その倉庫代が庭の小屋でなんとかなるんであれば、「実質コストはかからない(生活費の中の家賃に含まれる)」なと。
でも、もうちょっと確認したいので質問2を使います。
私 倉庫代がかからないのは良いとして、他にどんなコストがかかるの?
佐藤 商品自体の値段もそうですけど、いわゆる「輸送費」がかかりますし、「関税」がかかるものもあります。
私は貿易はしたことないですし、何も知識はないのですが、こうやって質問をしていくとたくさんのことを教えてもらうことになります。
新しいことを知ることになるのでいろいろ聞きたくなります。
私 港ってどこにあるの?
佐藤 横浜です
私 あー、横浜かあ
別に感心することでもないと思うかもしれませんが、実は当時私も佐藤さんと同じく鎌倉に住んでいまして、都内に仕事に行っていました。横浜も途中通るのですが私の人生の中で「横浜を港のある街」として港の近くのおしゃれなお店に食事にいくことはあっても「港そのものを利用する」ことはありませんでした。同じ場所にいても仕事が違えば意味が違うんだな、と感じたんです。
佐藤 だから、北海道の厚真町だと「苫小牧に港」があるから都合が良いんです。
私 あー、なるほど。苫小牧って港あるよね。なんか小さいとき社会の授業で習ったよ。
コストのことがなんとなくわかったところで、計画のための質問3「いくつ売れると思うの?」です。佐藤さんの場合はすでにやっているので「いくつ売れてるの?」です。
私 で、カメラっていくつくらい売れるの?
佐藤 ××個くらいですかね
私 単価ってどのくらいなんだっけ
佐藤 ものにもよりますけど〇〇円くらいですね
私 ということは月間△△くらいかあ
数字を伏せたいわけではなく、単純に2年前の話なので詳細を私が記憶していないだけです。そして「月間の売上規模」がわかってきます。
この数字が十分であれば「家族が生活できるね」となります。こんな感じでやりとりを繰り返します。
メンターは知りたがっている
佐藤さんとへの質問はもっともっと続きます。
「仕入れって、良い商品ってどうやってみつけるの?」「いつもいつも商品が見つかるものなの?」。
貿易は輸入する商品がなければ売り物がありません。だからビジネスをするには「継続的に仕入れができること」が重要です。そこを確認するための質問です。「競合っていないの?」というのも質問3から掘り下げるときによく使う質問です。佐藤さんに聞いたときは「昔は僕しかやってなかったんですけど、最近はマネする人が出てきて結構厳しいですね」といった答えもありました。
でも、ここまで聞いてくるとわかるわけです。「このビジネスの肝は『佐藤さんが目利き』であることだ」、さらにいうと「固定の商品だけでなく『佐藤さんがいろんな商品に興味を持てる』ことだ」、もうひとつ加えると「その商品をちゃんと仕入れさせてもらえる『人間関係を作れる』ことだ」。
そもそも目利きでなければいい商品を探せない
固定の商品だけだとマネされて競争が激しくなると苦しい
いい商品は「珍しい商品だからこそ値段も上乗せできる」、でも「珍しい商品は持っている人も簡単には手放したくないだろう」、だから「それでも佐藤さんにならいいよ」と言ってもらう必要がある。
そんなことを理解していきます。実際、佐藤さんは海外に出て行っては、ブロークンな英語で人間関係を作って「ミノル、お前に任せた」と言わせてきます。これは誰でもできることではないです。
そういう力のある人は「厚真町にいてくれたらいいな」「きっとなんとかするだろうな」と思えます。
でも、ここにたどり着くまでに「あれやこれやと質問をうける」ことになります。佐藤さんはかなりしんどかったみたいですし、私と佐藤さんとのやりとりを見ていた渡辺さん(取材のカメラマンとして参加)は「花屋さんのマシンガンで佐藤さんハチの巣でしたね」と言ってましたし、2017年にも「マシンガン期待してますよ」とか、ちょっとその追及がゆるいと「今年はやさしいですね」とか言われます。
外から見ると「厳しい質問をたくさんする」ように見えるときもあるようですが、私自身は「知りたい」と思っているだけです。知るということは「細かく確認」する必要があると思っているので、質問に対する回答に対してさらに質問をしていきます。そして最後の最後に知りたいのは「このビジネスの肝はどこなのか?」そしてその肝は「ずっと残るのか?(一時的ではないのか)」です。
佐藤さんの場合は言ってしまえば「佐藤さん自身の好奇心や魅力が大切」でその大切なことは彼が「家族と仲良く暮らす」限りはずっとあり続けるから大丈夫だろうなと。質問の中には移住にともなう家族の負担のことも出ます。その質問に一生懸命答える佐藤さんをみてそう感じました。
メンターはみんなたくさん質問をします。それは興味本位でもないですし、ダメ出しをしたいわけでもありません。ただただ「この移住がいい形になって欲しい、LVSの時間がいい時間になって欲しい、だから詳しく知りたい」と願っているだけです。
ステップ3「伝えること」
そろそろ今回の記事は最後にしたいと思うのですが、5つのステップのうちもうひとつだけお伝えします。ステップ3の「伝えること」についてです。
何か事業をやろうとするときにそれを誰かに伝える必要があります。伝えることの目的のひとつは「応援を得る」ことです。伝えることで「がんばれ」がもらえるかもしれませんし、「お金」を出してくれたり、「営業先を紹介」してくれたりもするかもしれません。なんらか「あなたのことを応援したい、事業を応援したいよ」と感じてもらうことが大切です。
では、どうすれば伝わるのか?ですが、押さえておく3つのポイントがあります。
ポイント1、「何をしようとしているのか?」を伝える(What)
ポイント2、「自分がなぜそれをしたいのか?」を伝える(Why)
ポイント3、「自分がそれを『できる』ということ」を伝える(How)
この3つのポイントを押さえるというか、「相手は何を知りたがっているのか?」を理解すると、必然的にこの3つを伝えることになります。
LVSでの発表の場合ですと、聞き手が知りたいのは「あなたのしたい事業は何ですか?」です。
だから、何をしようとしているのか?を最初に教えてください。何をしようとしているのか?は「何を売ろうとしているのですか?」です。商品やサービスがなんなのかを説明してください。
そこを教えてくれると次に知りたくなるのが「あなたはなぜそれを提供したいんだろう?」です。他にもいろんな商品でもいいはずなのになんでその商品なんだろう、あなたはなぜその商品を選んだんだろう、あなたはその商品のどこに魅力を感じているんだろう、そんなことを知りたいです。提供する商品やサービスに対するあなたの「本気度」とか、なぜその商品があなたを動かすのか?が伝わるといいですね。そして最後に「ちゃんと作れますよ」ということを補足してください。補足と書いたのは、最初の2つがわかれば「やり方(How)」に関してはいくらでも考えようがあります。商品が魅力的で、それを何がなでもやりたい人(あなた)がいるなら、人はついてきますから、きっと「できる」ようになります。そして厚真町のLVSでは地域の人、役場の人、そして我々とあらゆる人が力を貸してくれます。貸したくて仕方がないくらいの人たちがたくさんいます。その力を借りるために「何をしようとしているのか」「なぜそれをしようとしているのか」をしっかり伝えてもらえればと思っています。
ちなみにこの原稿も「読み手が何を知りたがっているか?」を最初に決めました。「LVSに興味を感じていて、自分が応募したとしてうまくやれるかどうか思う人」。
そういう人にはきっと「メンターがどんな人でどんなやりとりが発生するかは役に立つだろう」そう思って書いてみました。この文章自体が本当に伝わる文章かどうか、伝えたいと思った人に届くかどうか?はわかりません。
でも、なんらか商品やサービスを考えるときは「ターゲットを絞る」ことは大事だと思っていますし、絞るからこそ、迷ったときに「右か左か」を選べると思います。
「計画すること」を掘り下げるとき私はきっと「この商品のターゲットはどんな人なの?」と聞いてしまうことと思います。
エントリーお待ちしております
最後になりますが、私はLVSは最終的に採択されるかどうか?という結果ではなく、その過程にこそ価値がある、と感じています。
特に「なぜその事業をやりたいのか?」を考えていくと「自分自身」と向き合う必要があります。5つのステップの一番最初が「自分を知ること」です。自分と向き合うことはある種の恐怖を伴います。しかもそれを「他人に聞かれる」。「言いたくないこと」「知りたくなかったこと」「思い出したくなかったこと」さまざまな感情に出会うと思います。そんなとき「言いたくなければ言わなくてもいい」です。自分自身の中で感じることができればそれはきっとなんらかの変化を生み出します。変化がおこればいつか形になっていくときがあると思います。LVSのスケジュールとは関係なく、あなた自身のスケジュールの中で考えればいいです。でも、そのあなたのスケジュールを「ちょっと書き直す機会」には厚真町LVSがなれるんじゃないかなと思っています。そしてこの「自分を知る」を掘り下げているときに途中に書いた「メンターたちが共通でもっている大切な思い」にも触れることになると思います。そこは実際に厚真町のLVSの会場で。
ということでエントリーお待ちしています。厚真町でお会いしましょう。
厚真町ローカルベンチャースクール募集概要ページ
また、興味はあるんだけどまだ自信もないし、もう少し詳しく聞いてみたいな、ということもあると思います。
そういう方はオンラインメンタリングをしましょう。本記事を執筆した花屋がお話を聞かせていだきます。
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