あつまの農業経営者育成プロジェクト 平成29年度の活動レポート

2021年3月1日

※本記事は平成30年9月6日に発生した北海道胆振東部地震の前にまとめられたものです。地震後の取り組みについては、改めてご報告する予定です。


「あつまの農業経営者育成プロジェクト」は、平成29年度において寄附者の皆さまより合計7,001,000円もの寄附金をお寄せいただきました。たくさんのご支援をありがとうございました!
本プロジェクトでは「農業担い手育成センター管理業務」、「農業ICT化普及推進事業」、「元気な農家チャレンジ支援事業」の3つの事業を応援していますが、昨年度お寄せいただいた寄付金に関しましては、今回大きく2つの事業で活用させていただくことにしています。具体的なプランについてプロジェクトリーダーの加賀谷さんにお話を伺いました。

まずは「農業ICT化普及推進事業」についてです。
高齢者の離農に伴う農地の売買等により、近年は農家の大規模化が進んでいます。それによる作業時間の増大や人件費などを抑えるため、大きく期待されているのがICT化です。
ICTとは情報通信技術のこと。厚真町では、トラクターなどの農業用機械にGPSガイダンスを搭載したり、機械制御によるハンドルの自動操舵技術を導入したりすることで、作業の効率化などを図っています。
現在は主に、水田・畑を耕すときや種・苗を植えるときにこの技術が使われています。
いただいた寄付金は、自動操舵技術等を導入する際の助成金として活用させていただきます。

続いては「元気な農家チャレンジ支援事業」についてです。

米どころの厚真町では、通常の栽培とは違う2つの稲作の栽培方法に挑戦しています。
そのひとつが「直播(ちょくはん)栽培」。種モミを直接田んぼに撒く方法のことです。
ハウスで苗を育てたり、その苗を田んぼに植える手間が省けるため、これまでかかっていた費用や時間を削減することができます。「直播栽培」は温かい本州では一般的ですが、ここで問題になるのが、本州よりも涼しい北海道の地、そのなかでも特に冷涼な厚真町で稲はうまく育つのかということ。そのデータを集めて未来に生かすため、現在も町内の農家有志による研究会で試験に取り組んでいます。

お米の栽培でチャレンジしているふたつめが「特別栽培米」。特別栽培とは、農薬と化学肥料を基準の半分以下にする低農薬栽培法のことです。
しかも厚真町内で4軒の農家が挑んでいる「特別栽培米」は、使用量が北海道の基準値の半分どころか、何とたったの2~3割!

「最低限の農薬だけで育てるという、これまで以上に安心・安全な米を目指して試行錯誤を重ねていますので、ぜひ応援していただきたいですね。農協や農家さんと、いずれはふるさと納税の返礼品としても出すことができたらといいねと話しているんです」

と加賀谷さんは言います。
現在は試験ということで一般販売はしていませんが、今後は本格的な出荷体制を整えられるよう進めていく予定です。

そして厚真の特産品といえば、忘れてはならないのがハスカップ。
こちらもブランド化に向けて町内で様々な取り組みが行われています。皮が非常に薄いハスカップはとても繊細な果実。生の状態では2~3日しかもちません。だからこそどうすれば高い品質と味を保ったまま消費者に届けることができるのかが、とても重要になってきます。

「無農薬ハスカップを使ったドライフルーツ作りに挑戦している農家さんが行った試験をこの事業でサポートしています。また、ふるさと納税の返礼品にもなっている冷凍ハスカップは、賞味期限の試験をしました。その結果、冷凍してから2年経過しても味や品質はほぼ劣化せず、長期保管が効くことがわかったんです。特に「あつまみらい」、「ゆうしげ」の2品種は凍らせたまま食べてもとても美味しいのでおすすめです」

他にも、農薬散布用ドローンの導入や、農作物の直販サイト立ち上げ、イベント用パッケージデザイン制作など、「元気な農家チャレンジ支援事業」を活用した独自の取り組みは多岐に渡ります。

こういった様々なチャレンジが積極的に行われるのは、厚真町に意欲ある農家さんが多いからこそ。
これからもたくさんの「おいしい」を生み出すため、そしてあつまの美味を皆さんの食卓へと届けるため、引き続きの応援をよろしくお願いします!



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