【北海道厚真町】このビーチで心地よく過ごして欲しい。海を愛する仲間とともに、ふるさと納税でつながる浜厚真ビーチ流木処理プロジェクト。

2022年11月15日

人口4,400人ほどの北海道厚真町に年間6万人以上の人が訪れるスポットがあります。それが浜厚真海岸。この海岸は年間を通してサーフィンを楽しむ人でにぎわいます。でも、ひとつ問題があります。海から流れてくる「流木」です。厚真町ではこれをどうにか処理してもっと心地よくこの場所で楽しんで欲しいと考えています。そのためにふるさと納税を財源として活用していきたい。今回は過去にこの海岸の整備に携わった厚真町役場の皆さんに整備以前の状況やこれからのことについてインタビューを行いました。そして最後に令和3年度の厚真町のふるさと納税の状況についても報告します。

今回お話を伺った皆さん

  • 総務課 課長 佐藤大輔
  • 総務課 人事グループ 主幹 田中紀嘉
  • 住民課 課長 藤岡隆志
  • まちづくり推進課 課長 宮下桂
  • 教育委員会 生涯学習課 課長 奥村与志照
  • 教育委員会 生涯学習課 学校教育担当参事 中村真吾

「実は観光地だったんだ」。厚真町で発見された意外なスポット。浜厚真海岸。

平成21年度にプロジェクトチームが立ち上がり、平成22年度には「厚真町臨海施設ゾーン活性化基本計画」が策定されました。基本方針4本柱に「施設整備」「包括的なエリア整備」「情報発信」「利用者滞留時間と経済消費活動の増加」を据え、計画の全体像としては芝生公園、その他商業施設の整備などが含まれていました。

――浜厚真海岸は平成21年にプロジェクトチームができたときのことを教えてください。

中村:なんとなく海に人がたくさん来ているなと思っていましたが、その実態を正確には把握できていませんでした。そこでまずは調査会社に依頼して利用者の数を調べてもらいました。そうしたところ「年間6万人」との結果が出て、そんなにいるんだと驚きました。

浜厚真海岸に並ぶ利用者の車両


――プロジェクトチームとしてどのような活動をしたのでしょうか?

宮下:ここに当時の活動記録があります。定例学習会から始まり、海の環境保全活動を行う団体やサーフィン関係者との意見交換などこの海に関わる人たちとの関係構築、パタゴニア札幌やサーフィン連盟とも連携しながらビーチクリーンも行いました。そういった活動を通じて知見を深めつつ臨海施設ゾーンの活性化に関する基本計画が作成されました。利用者数も多いですしこのエリアが活性化すれば経済効果も大きいだろうと感じていました。

――整備を始める前の周辺環境はどのようなものでしたか?

宮下:特に何があるわけでもなかったのですが、汲み取り式の簡易トイレは設置してありました。私はサーフィンをするのですが正直「あのトイレは使いたくないな」と思うものでした。

中村:いきなりお金はかけられないですし、自分たちでできることとしてその簡易トイレにペンキを塗ったりもしました。

整備前に設置されていた簡易トイレ


整備に向けて各種の制約を乗り越え「まずはできるところまではやれた」。

この基本構想は商業施設の整備など広いエリアでの開発を盛り込んでいましたが、そこには「土地利用制限」、「財源」の課題がありました。また、平成23年に東日本大震災もあり沿岸部に建物を建てる計画は見直す必要も生じました。それらをひとつひとつ乗り越え、できるところまで進め、平成25年度をもってプロジェクトチームはいったん解散となりました。

厚真町臨海施設ゾーン活性化基本計画で提示された開発構想案

――基本計画策定後の動きを教えてください。

佐藤:いろいろとやりたいことはありましたが、様々な制限がありました。まずは周辺整備をする「土地の利用制限」がありました。そのため「工場」を建てる余地はありましたが商業施設などの建築には非常に高いハードルがありました。

中村:何かを動かすにはお金も必要です。基本構想の段階では財源の確保も十分ではないですし、そこをどうにかする必要もありました。

――そういった制約の中でどのように整備を進めていったのでしょうか?

奥村:該当エリアの中にほんの一部だけですが町が所有する土地がありました。そこであれば町で何かを作ることが可能でしたので、まずはそこにトイレを新設することにしました。ウェットスーツの洗い場もつけてサーフィンを楽しむ人にとって使いやすいものをと考えました。

中村:財源に関しても、ただトイレを作るのではなく、「公園」と指定することで公園整備に関連する補助金を使えるようにしました。

藤岡:その他にも浜辺につながる町道を舗装し、看板を立て、波情報を届けられるようにライブカメラを設置しました。このカメラも防災用と兼用することでうまくお金のやりくりをしました。

中村:看板はあの海岸に流れ着く流木を使ったものです。

舗装される前の海岸へ続く町道の様子

浜厚真海岸に流れ着いた流木を利用した看板

――そうやって進めてきたプロジェクトチームも平成25年度で解散していますね。

田中:いろいろとエリア開発をしたい思いはありましたが、土地利用の件は簡単ではありませんし、東日本大震災を経て沿岸部に積極的に建物を建築することに慎重になった側面もありました。

中村:そんな中、その時点でやれるところまではやったなという思いもありました。

新たに整備されたトイレ

戻ってきた熱気。ふるさと納税を活用しもっともっとこの場所を良くしたい。

その後、平成30年9月に厚真町は胆振東部地震を経験、令和に入ってからは新型コロナウイルスの蔓延と厳しい外部環境はありましたが、浜厚真へサーフィンに訪れる人は減りませんでした。そして令和4年7月には浜厚真海岸でサーフィンの大会が開催。この海岸を大事にしてくれる人たちがいる。その熱気を感じることで「あの浜をもっともっと心地よい場所にしたい」改めてそういう思いが湧いてきました。

――トイレ等を整備して数年後になりますが、厚真町は胆振東部地震を経験します。訪れる人に影響はなかったのでしょうか?

宮下:あの浜から離れるどころか、むしろ励ましてもらいました。震災が起こった翌年に厚真町に貢献したいとのことで「厚真町長杯」として サーフィン大会を開催してくれました。そしてそれを継続的な大会にしたいと思っていたところで新型コロナウイルスの蔓延が起こり、思うように大会が開けない状況が続きました。

――でも、今年、その「厚真町長杯」が復活しましたね。

宮下:そうですね。普段から浜厚真をホームブレイクにしている熱心なサーファーで厚真町の復興やまちづくりに興味のある関係者が企画し、動いてくれたことで実現しました。今年(令和4年)からは日本サーフィン連盟(NSA)の公認大会として開かれています。公認大会となったことで道内はもちろん道外からもあの海岸に大勢の人が集まってくれました。あの様子は本当に嬉しかったです。ただ、だからこそ気になることもありました。

令和4年にNSA公認大会として開催された厚真町長杯に参加した競技者

――気になること?

宮下:大量の流木です。普段から定期的なビーチクリーンは実施していますが、流木や漁網などは処分をすることができません。ビンや缶などはみんなで拾うことができるのですが、どうしても流木はそのままにせざるを得ず、どんどんたまってしまう状況です。これをなんとかきれいにして、皆さんに気持ちよく安全に楽しんでもらえる状況にしていきたいと願っています。

打ち上げられた大量の流木

――それにはやはり財源が必要になりますね。

中村:そこは「ふるさと納税」を財源としてうまく活用できないか?と思っています。普段厚真町外からあの浜に関わってくれている皆さんが、ふるさと納税を通じて寄付先として厚真町を選んでいただけるなら、その寄付を利用して海岸をきれいにする。そうすることでますます海がきれいに使いやすくなる。そんな関係を作れたらいいなと思っています。

――集めた流木はどうするのですか?

宮下:町内の木質バイオマスボイラーで燃やしてエネルギーにすることも考えたのですが、塩分が多すぎて機械の故障につながるとのことでしたので、パルプ用のチップにして紙として再利用することを考えています。

――どうもありがとうございます。海をきっかけにふるさと納税を通じて、あの海で楽しむ皆さんとの新しい関係ができそうですね。流木を紙に循環させるアイデアも素敵だと思います。

メンバー一同:厚真町の海岸から流木を取り除き、さらに魅力的なビーチにしていくために、ぜひ厚真町の「流木処理プロジェクト」も応援をいただければ嬉しいです。よろしくお願いします。

厚真町のふるさと納税活用状況について

最後に厚真町からふるさと納税の状況についてお伝えします。令和3年度の寄付総額は469,425,500円でした。たくさんのご支援をいただきありがとうございました。厚真町にふるさと納税で寄付されたお金は「ふるさと応援基金」に集められ、地域が必要とする様々な事業の財源として役立てられています。令和3年度もこちらの基金から9つの事業に予算を割り当て事業を進めました。その中からトピックスとして3つの事業について紹介します。

サテライトオフィス整備事業

新町地区に北海道が所有していた厚幌ダム建設事務所を厚真町が取得し、企業が利用できるサテライトオフィスとして改装しました。令和4年3月末から利用を開始し、令和4年10月時点で12社が利用しています。

新町地区のシェアサテライトオフィス

サテライトオフィスの中の様子

子育て支援住宅建設事業

町外から厚真町へ転入する小学生以下の子どもがいる世帯向けに、上厚真地区に子育て支援住宅を10戸整備しました。この住宅は平屋3LDKの間取りで、家賃から子ども一人につき月額5000円の控除があります。令和3年12月から入居者を募集し令和4年10月時点で7世帯が入居中です。

新たに建てられた子育て支援住宅

古民家再生推進事業

フォーラムビレッジに2棟目の古民家を移築しました。1棟目はパン屋さんとして利用され町外からも多くのお客様が訪れる人気店となっています。新たに移築した2棟目は民泊施設・飲食店として営業するための準備が進められています。

また、この2施設の近隣に3棟目の移築工事が進められており、令和5年度には宿泊施設としてオープンが予定されています。

新たに移築された2棟目の古民家(手前)、奥は1棟目の古民家

厚真町では今後もふるさと納税によりいただいた寄付を有効活用し、より良い町にすべく各種事業を推進していきます。そして浜厚真ビーチの流木処理など、厚真町外から関わっていただいている皆さまにとって有益な活用方法も、引き続き模索していきます。今後とも厚真町へのご支援をよろしくお願いします。



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