いつでもおいでねあつまプロジェクト 令和2年度の活動報告レポート

2019年3月1日

「いつでもおいでねあつまプロジェクト」は、令和元年度において寄付者の皆さまより合計11,123,992円の寄付金をお寄せいただきました。ご支援をいただき誠にありがとうございました。

令和2年度は、当プロジェクトの重要なキーワードの一つである「古民家」の保存・活用に関していくつかの動きがありました。

まず北海道胆振東部地震のために一時中断していた旧山口邸の移築再生事業が再開され、改めて事業者の公募と選定が行われました。移築先は豊沢地区のフォーラムビレッジで、ベーカリー『此方(こち)」』の店舗となっている旧畑島邸と並んだ敷地です。令和3年度の施工が予定されており、同4年度には民泊と飲食店を兼ねた施設として供用される予定となっています。

旧畑島邸は富山県に多く見られる「枠の内」とよばれる造りが特徴の「越中造民家」ですが、旧山口邸は福井県からの入植者の住宅として建てられた「越前型民家」。竣工後には、造りの異なる古民家が隣り合う様子を見ることができます。宿泊や食事を楽しみながら、海を越え時代も越えて受け継がれた伝統に思いを馳せる……。そんな空間の実現に向けて、着実に準備が進められています。

古民家の移築作業の様子

また震災前に寄贈を受けた旧幅田邸でも、移築再生に向けた準備が再開されました。担当する産業経済課の小松美香さんによると、「基本構想の策定に当たっては、移築予定地の周辺に広がる厚真町が管理する環境保全林を生かし共存することに重点が置かれています」とのこと。個々の古民家としてだけでなく厚真町の豊かな自然も同時に満喫できる、魅力あるスポットへの期待が高まります。

さらに、震災の影響で解体を余儀なくされた古民家から寄贈された梁や柱などの古材についても、有効活用への道が開かれています。例えば、軽舞地区にあった旧木澤邸の古材は、令和2年3月から軽舞遺跡調査整理事務所で「枠の内」の梁組みを再現し一般公開されています。ほかに幌内地区からも母屋と納屋を解体した古材の寄贈を受けており、こちらについては今後、具体的な活用方法を検討していきます。

古民家(幌内地区の納屋)には貴重な古材が使われている

厚真町には歴史的に北陸地方からの入植者が多く、特に富山県由来の古民家が多く見られますが、そのなかには現在の富山県内にはほとんど残されていない造りの家も保存されていることがわかっています。そうした価値ある遺産をより多くの人に見てもらい、さらに次世代へ引き継ぐために、今後ともご支援をよろしくお願いいたします。



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