安心して産み育てられる町にしたい

2017年12月19日

「25人」——これは、厚真町で1年間に生まれる赤ちゃんのおおよその数。
「3,054人」——これは、2040年の厚真町の人口将来推計。現在の約65%に減少する計算です。

人口の減少は、小さな町により大きなインパクトをもたらします。
将来に渡って活力ある厚真を残していくため、安心して子どもを産み、育てられるまちにしたい。このプロジェクトでは、制度や体制の充実を通じて 子育てを支える事業にみなさまからのご寄付を活用します。

子育ての相談にワンストップで対応する「子育て世代包括支援センター」

出産や子育てを支援するため、町ではさまざまなサポート事業を行っていますが、子育てのステージや相談ごとによって窓口が異なり、どこに相談したらよいのか迷ってしまうこともあるといいます。それを解消するため、厚真町では2018年度の開設をめざして「子育て世代包括支援センター」の準備を進めています。担当の宮下さんに聞きました。

子育て世代包括支援センターというのは、現在、厚生労働省が導入を推進している子育て支援の“仕組み”のことを指しています。センターといっても、何か新しい建物を建設するわけではなく、さまざまな母子保健事業や子育て支援事業をつないで、ママやパパが利用しやすいサポートの体制を整えることをめざします。

つまり『出産のことも、乳幼児の予防接種のことも、こども園のことも、まずはここに相談したらそれぞれの担当につなぐよ』という“よろず相談窓口”のような存在です。

子育て世代包括支援センターができることで、第一にママ・パパが町の制度や施設、サービスを利用しやすくなります。第二に子育てにかかわる関係機関とセンターによる密な連絡調整を通して情報共有や連携が進みます。これにより、妊娠から出産、子育てまで、切れ目のない支援を提供することをめざしています」。

「あつま版ネウボラ」で一人ひとりに合ったケアを

子育て世代包括支援センターにはモデルがあると宮下さんはいいます。

「福祉の国として名高いフィンランドには『ネウボラおばさん』と呼ばれる方がいます。ネウボラとはフィンランド語の『ネウボ(neuvo)=アドバイスする』『ら(la)=場所』が語源で、妊娠のことも、出産のことも、子どもが生まれてからも、すべてその人に相談すればいいという仕組みのことです。『子育てスーパーバイザー』と言い換えることもできるでしょう。赤ちゃんがおなかにいることがわかった段階から、そのママと赤ちゃんに担当者がつきます。赤ちゃんが生まれる前から相談に乗ることで、ママの仕事やパパの仕事、兄弟のこと、家庭環境、生活習慣まで把握した上で、悩みごとの内容や子育てのステージにあわせて的確なアドバイスができるようになります」。

実はそうした下地は従来からできていたと、保健師の内村さんはいいます。

「町内で生まれる赤ちゃんは1年間に20〜30人です。ですから、私たち保健師はいつ、どのご家庭で赤ちゃんが生まれたのかを十分に把握しています。また、地区ごとに担当者を配置していますから、子ども一人ひとりの担当保健師が明確で、その子に合ったケア(=個別ケア)を責任を持って行うことができます。たとえば、いつ予防接種を受けたらいいのかというプランを一人ひとり作ってあげるといったことも行っています。
それが可能なのは、やっぱり田舎だからなんだと思います。保健師に限らず、まちの大人たちが普段から子どもたちに声を掛け合う環境がこのまちにはすでにできています。そういったことを生かせる仕組みさえあればママもパパも、もっと安心してこのまちで子育てができるでしょう。子育て世代包括支援センターは、そうした地域ぐるみで子育てをするための一つのステップになると思います」。

地域の大人たちが一緒になって子どもを育てるまちへ

地域ぐるみの子育て環境づくりは「究極の目標」と宮下さんは話します。

「子育て世帯にとって、地域があたたかい目で見守ってくれる環境というのは何よりの安心感につながるでしょう。そのためには子育て世代当事者だけではなく、子育てが一段落した世代であったり、さらに上の世代の方々が子育てに積極的に関与できる仕組みを作れたらいいなと思います。
たとえばファミリーサポートと呼ばれる取り組みを行っている地域が全国にはあります。保育園のお迎えや一時的な託児を、地域の方が忙しいママ・パパに代わって引き受けてくれるサービスです。『助けてほしい』というママ・パパ、『助けてあげたい』と考えている地域の方がそれぞれ会員登録し、助けが必要なときに双方をマッチングします。
おじいちゃん・おばあちゃんと離れて暮らす移住者の方には便利な仕組みですよね。厚真町でもゆくゆくはこういったことにチャレンジしていけたらと思います」。

保健師の内村さんは、実は厚真町に移住して3年目。彼女は、厚真町の人びとには“よそもの”を温かく受け入れてくれるやさしさがあるといいます。「私自身が漁師町の生まれだからというのもありますが、ここには漁師町の活気とは違う穏やかな空気感があって、ゆったりと時間が流れているような気がするんです。穏やかで親切な人が多いですよね、厚真には」。

宮下さんが言葉を引き継ぎます。
「外から来た人を受け入れる気質というのは、私自身も移住者ですからよく分かります。そうした厚真の人たちの気質が基盤としてあって、その上にこども園や子育て支援センターなどの子育て環境、子育て世代支援住宅などの行政サービスがある。人、環境、支援の3つをお互いにむすびつけながら、ママやパパが安心して子どもを育てられるまちにもっと近づいていけたらと思います」。

医療費も、保育費も、高校の通学費まで還元

経済的負担を軽減するための「子育て支援給付事業」も子育て環境の充実には欠かせません。担当の小野寺さんに聞きました。

「厚真町では子育て支援を目的とした3つの『還元』事業を行っています。一つが医療費の還元です。この制度では乳幼児の初診料一部負担金、小学生から高校生までの入院・通院で病院にかかった医療費自己負担額をポイントとして還元します。乳幼児は別の助成制度で初診料以外の医療費をすべて町が負担していますので、実質的には生まれてから高校を卒業するまで医療費ゼロということになります。乳幼児や小学生だけではなく高校生まで医療費ゼロというのは、かなり手厚い子育て支援といえそうです。

『還元』事業の二つ目は保育料の還元です。この制度では保護者が負担したこども園の保育料(利用者負担額)の2割をポイントで還元します。

三つ目は町外の高校に通う高校生を対象とした還元です。この制度では町外の高校に在学する高校生(高等専門学校は1〜3年生)の通学費や下宿代等の負担を軽減するために、1カ月につき5000ポイントを、長期休暇を除く年間10カ月分還元します」。

ところで還元されるポイントとは、どのようなものでしょうか。

「あつまスタンプ会が発行している『あつまるカード』というICカードがあります。そこにポイントが貯まり、貯まったポイントは1ポイント=1円で町内加盟店での買い物などに利用できます」。

「ママと赤ちゃんの笑顔あふれるナンバーワンの町プロジェクト」でお預かりした寄付金は、「子育て世代包括支援センター運営事業」と「子育て支援給付事業(各種)」の運営費として大切に使わせていただきます。

地域ぐるみで子育て環境の充実に挑戦する厚真町に、ぜひご支援ください!



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