いつでもおいでねあつまプロジェク 平成31年度の活動レポート
2020年3月1日
「いつでもおいでねあつまプロジェクト」は、平成30年度において寄付者の皆さまより合計11,439,988円の寄付金をお寄せいただきました。ご支援をいただきありがとうございました。
本年度はプロジェクトに大きな進展はありません。平成30年9月に北海道胆振東部地震が起きたからです。震災前には旧山口邸の移築を予定し、工事の準備を進めていましたが、工事発注の直前に地震が発生し、被災者の方々の住宅確保が急務となりました。その状況は現在も続いているため、応急仮設住宅などで生活する方々の住替え住宅のめどがつく来年度まではプロジェクトの再開を見送っている状況です。
「今回の震災で町内に現存する古民家にも大きな被害がありました。」と大坪秀幸さんは話します。「私の把握する範囲では、既に再生等を終えた建物も含めて町内に16軒あった築100年以上の古民家のうち、9軒が被災により解体せざるを得なくなりました」。
被災により大きな被害を受けた住宅を解体する際には、一般的に公費解体と私費解体の2とおりの方法があります。公費解体の場合は、町が所有者に代わって解体を行うもので、町から仕事を受託した解体業者が一気に解体作業を行うため古民家の貴重な古材も廃棄物として処分されてしまいます。一方、私費解体であれば、費用はかかりますが自分の意志で解体できるため、梁や柱などの貴重な古材などを救出し再利用も可能となります。
実際に私費解体を選んだ方がいる、と大坪さんは話します。「今回の震災で、古民家を解体せざるを得なくなった一人の高齢の男性は、自分の生まれ育ったこの古民家をとても大切に思っていました。この古民家は、この男性の祖父が厚真に入植した当時に自生していたカツラの木を使い、大正2年に故郷の富山県の建築様式で建てられたものです。この男性は、自分が長年生活していた古民家の一部でも何とか残そうと私費での解体を選び、解体した梁や柱などの貴重な古材を町に寄贈してくれました。この古材は、現在、軽舞遺跡調査整理事務所で大切に保管しています」。
その後、この古民家の特徴的な部分である「枠の内」といわれる部屋を軽舞遺跡調査整理事務所内で再生し、令和2年春頃からの展示・公開の予定です。
「古民家を再生することで、多くの富山県人が厚真に入植した当時の町の歴史と生活の様子を感じ取っていただけたら」。大坪さんはそう思いを語ってくれました。